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2007年2月10日 (土)

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音

 毎日新聞に出ていました。
 激務、重圧…増える退職ということです。

 ◇見合わぬ待遇、良心も限界

 「立ち去り型サボタージュ」。医療関係者の間で、こんな言葉がささやかれている。医療訴訟が増え、時には逮捕さえされる。しかも、病院勤務医の給料は過酷な業務に見合わない。耐えられなくなった勤務医が開業などへ流れ始めた現状を指す言葉だ。

 30代後半の男性内科医は昨年、十数年勤めた東京都内の大学病院を辞め、診療所に移った。「訴訟恐怖症」になった大学病院。「どんな細かなことでも報告書を求められ、時間が取られるばかりだった」と振り返る。

 新医師臨床研修制度にも悩まされた。以前は1年間は同じ研修医を指導し、半年ほどで独り立ちして仕事を助けてくれた。今は2カ月ごとに研修医が変わり、教えるだけで助けてはもらえない。診療や月3~4回の当直をしながら、研修医からの質問も受けた。

 大学の給与は年600万~700万円。家族との時間も取れない。「『赤ひげ先生』を求められても難しい。責任の重さが収入につながらず、やってられないと思う医師が出ても仕方ない」とため息をつく。

 現在は夜間の呼び出しがなく、収入は2~3倍になった。「体が楽になり、家族との時間も取れる。しばらくはここで仕事をする」と語る。

 関西で病院を辞めて開業した50代の男性産婦人科医も「産科を離れてよかった」と話す。当直明けに手術を何件もこなすと足がむくみ、目もかすむようになっていた。

 開業して不眠症が治ったが、お産は扱わない。「場合によっては刑事責任を問われる可能性もある。我慢を重ねたが、立ち去るしかなかった」

   ■   ■

 看護師も同様だ。

 都内の大学病院に勤める岡本幸さん(28)は3月で退職する。あこがれの職業だったが、本当に楽しいと思えたのは3年目まで。責任の重いリーダー役を任され、精神的な負担が増えた。医師の指示を受け、病棟の看護師をまとめる。看護師が交代で休憩を取る段取りをつけ、仕事が滞っていないか目配りする。

 仕事が終わってもリーダー向けの研修などがあり、定時に帰れる日はほとんどない。リーダーを務める日勤が続くと、遊びに行く気力もない。

 同じ病棟にいた同期5人は全員が職場を去り、身近な相談相手もいない。「看護の仕事は好きだし、職場の雰囲気も良いけれど、一度、離れてみようと思った」

 日本看護協会の調査によると、病院に勤務する看護師の離職率は、94年度は9・9%だったが、05年度は13・1%(速報値)に上昇。新人看護師の1年目の離職率が10%近いことも課題だ。

 同協会で新人看護師の離職防止に取り組む市川幾恵・昭和大病院看護部長は「事故防止などで看護師の責任が重くなる一方、医療の高度化などに伴って新人の教育にも時間がかかる。新人採用が増えても、現場にとっては人手が足りない。中堅看護師に負担となり、“燃え尽き”の一因になっている」と指摘する。

   ■   ■

 「立ち去り型サボタージュ」の名付け親で、東京・虎の門病院泌尿器科部長の小松秀樹さん(57)は「自尊心と良心で続けてきた勤務医が、過剰な患者の要求や警察の介入などで限界にきている。患者側と医療側の相互不信を取り除くため、第三者による本格的な医療事故調査機関が必要だ。このままでは間違いなく医療は崩壊する」と警鐘を鳴らす。

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