みんなと遊ぶ子どもほど病気に強い。
幼いころから、家庭や保育園でほかの子の持つ病原菌にさらされると、周囲の刺激に対する免疫システムが強化されると、アリゾナ大学医学部の研究員グループが、『The New England Journal of Medicine』に発表しました。
研究では、ほかの子どもと触れ合うことと、幼少期の病気やぜんそくの危険性との間に何らかの関係があるかどうかをみるために、1000人以上の子どもを生まれた時から追跡調査してきました。
その結果、13歳になるまでに、友だちと特によく遊んだ子どもがぜんそくになる比率は、そうでない子どもの半分、アレルギーになる比率は、そうでない子どもより20%低い傾向にあることが明らかになりました。
「つまりは、多くの微生物にさらされると、子どもの免疫システムが発達するのです」と同大学のWright教授は述べています。菌にさらされずにいると、免疫システムがアレルギー抗原のような物質を過剰に認識するようになり、菌にさらされない場合より強いアレルギー反応を示すことになるのだそうです。
またヨーロッパの研究も、この見解を支持しています。スウェーデンとエストニアの子どものぜんそく発病率を、長期にわたって比較してきた研究があります。
スウェーデンはとても清潔ですが、まだ豊かとはいえない旧ソ連のエストニアはそうはいきません。Norman博士によれば、研究の結果、エストニアの子どものぜんそく発病率は、スウェーデンの子どもの半分だということがわかりました。
極端な言い方をすれば、病原菌に接するのは幼いうちがいいとWright教授。「生まれてすぐの時期、つまり生後6ヵ月のうちだと、最も子供の免疫システムが強化されます」。子どもの免疫システムは子宮の中、つまり生まれる前から強くなろうとするそうです。
この発表に付された、カリフォルニア州ラホーヤのScripps Research Institute(スクリップス リサーチ研究所)のSandra C. Christiansen博士の論説によれば、こうした研究は、ここ数十年増え続けているぜんそくを食い止めることの説明に役立つかもしれません。「多くの国で、衛生状態と健康水準が良くなり小家族化するに連れて、ぜんそくの発病率が高くなっています」と「うちの子の前でくしゃみをしてください」というフレーズをタイトルの一部に使って、博士は論説を書いているほ です。
Christiansen博士によれば、早期に病原菌にさらされると、アレルギー反応に一定の役割を演じる免疫システム中のT細胞の発達が影響を受けます。ほかの子どもと触れ合うほど、アレルギーやぜんそくの発病に結びつくTh2細胞の生成量が減り、感染への抵抗力が大きいTh1細胞が増えるのです。
研究所でマウスを使った実験でも、同じ結果が得られたそうです。病原菌のない環境で育てられたマウスは、そうでないものよりTh2反応が大きくなります。
「ちょっと具合の悪い乳児を保育園に預けるのは内心気がとがめると思っている人たちは、この発見のおかげでほっとするでしょう」とChristiansen 博士は書いています。「そうすることは、Th1細胞とTh2細胞のバランスを元に戻し、ぜんそくとアレルギー性疾患の増加に歯止めをかけるのに一役買っているかもしれません」
泥だんごを作り、口を押さえずにせきをして、鼻水は拭かずにほっておく──これらは、きれい好きたちが極度に嫌うほど恐ろしいものではありません。この研究は、清潔すぎるのはよくないことかもしれないという一連の議論に、新たに加わることになります。
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「多くの微生物にさらされると、子どもの免疫システムが発達します」
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