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2011年10月20日 (木)

昔の会社の社長

 高卒後初めて就職した会社は比較的有名で、兄弟会社も入れると大きな会社だった。本当は入社してから巨大さに驚いたと言うのが本音ですけど。小学生からの夢が叶った仕事だったので、家を離れることも淋しいというよりも、楽しみで仕方がなかった。

 会社というのは当然社長さんがいるわけですが、勤務地の職場には社長がいなく、札幌の本社にいた。でも、働くのになにか影響があるわけでもなく、時々話には聞いたが、会う機会もなかったので、挨拶もしたことがなかった。
 3月21日に仕事を始め、初めて社長に会えたのは、その年の11月にあった先輩の結婚式だった。いきなり私の席に飲み物を持って来て、名前を呼ばれた。杖をついて、どこのお年寄りなんだろうと思ったら、「挨拶が遅れてすみません。社長です。まっつくん、噂は聞いております。いろいろ勉強されてから、うちの会社に入ってくれたみたいで、即戦力として期待しています。頼みますよ。」と言われた。
 私は、こんな自分の名前や経歴を覚えてくれているんだと思い、感動してしまった。
 それから月に一度くらいの割合で「元気かい?」という程度の電話が来るようになった。一番若くて経験の浅い私に、社長自ら声をかけてくれ、ますます社長信者になっていった。しかし、先輩たちは「アイツはタヌキだから、適当にしておけ」と言う。

 何年か経っても、連絡は相変わらずくれて、仕事の内容や会社をどうして行きたいか、何か困ったことはないかなどを親身に聞いてくれた。私も最初は当たらず触らずの答えをしていたが、気軽に声をかけてくれてくれるし、だんだん中身のある話をするようになった。社長はいつもそんなことが出来るとすごいことだから、実現に向けて頑張ろう、協力すると言ってくれた。

 が、しかしである。社長命令だと思い、張り切って徹夜までして図面や企画書を作って職場に提出しても、常務は相手にしてくれない。社長から言われたんだと言っても、こんな予算のかかることは出来るわけないじゃないかと怒られた。常務には跳ね返され、社長からは今に出きるようになるから、続けてくれと言われる。

 そんな時、職場に社長が来た。社長が来ると、一通り職場を回って挨拶をする。通常は上司がついて歩くのだが、その時はみんな交代勤務や休日の先輩がほとんどで、社長のご指名で私がついて歩くことになった。いろいろな話をしながら、従業員に挨拶をして回る。私は水戸黄門の助さんにでもなった気分だった(笑)。しかし、ある部署で最近入った女の子がいた。社長はその子を見ると「あの子の名前は? 学校はどこ出たんだ? なにか資格はもっているのか? 趣味でも何でも良いから、知ってることを教えなさい」と言ってきた。私はわかる範囲で教えると、一人でその子のところに行き、話を始めた。その話を聞くと、私が初めて会ったときに聞いたセリフとほとんど同じだった。なんとなく、冷めてきた。
 案の定というか、その女の子も社長からの直電話が来るようになったらしく、良く言えば生き生きとして来たが、正直言うと生意気になってきた。
 私もそうだったのかなと思い、飲み会の時に先輩に聞いたら、私だけではなく、みんなそうだったと言うことだった。

 今はもうその会社から離れて、10年以上経った。当時はいろいろ考えることもあったが、しかし、私もいろいろ経験して、何人かの社長と呼ばれる人と話をしたり、中間管理職の立場もわかるようになってきたのか、考え方が変わってきた。
 今はもう社長は亡くなってしまったが、社長は一代で北海道でも有名な大きな会社にして、修学旅行や本州からもお客さんが来ると言う、すごい事業を起こされたことには間違いない。
 良いか悪いかはわからないが、今の自分があるのも社長のおかげかも知れないと思うようになってきた。

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